平成19年11月8日
「答申後の経過報告」についての協議会各委員の意見・提言
平成18・19年度 吹田市立図書館協議会委員
はじめに
本図書館協議会(平成16・17年度)は、中央図書館長から諮問を受け、「将来を展望した 吹田市 立図書館のあり方について」(答申)をまとめ、平成17年11月22日に提出した。平成18・19年度の図書館協議会においては、答申後の経過報告を中央図書館長に求め、それを受けて、図書館協議会各委員が意見・提言を出しあうこととした。この意見・提言は、各委員が個別に執筆し、それを掲載したものである。平成16・17年度とは協議会の委員も代わり、答申の内容に関する意見も出された。協議会としては意見等の集約は一切行なわずあくまで委員個々の生の声を届けようとしたものであることをお断りしておきたい。
なお、項目立ては、答申の記述に従い、最後に全体的な意見・提言と、その他の意見を記載している。
4.2.1 図書館資料の充実
・図書館費の減額は、諸般の事情から避けられない現実かと思いますので、資料を購入だけに頼るのでなく、市民に図書等の寄贈を呼びかけては・・・と思います。
書店に行くと人がいっぱいで、みな熱心に本を選んでいるように見えます。私もよく本を買いますが、読み終えた本がたまるとおき場所に困ります。 各館が希望する分野の本の寄贈を、市民に知らせてはどうかと思います。図書館が本の捨て場にならないように、寄贈の基準をわかりやすく示してホームページ等でお願いすることもいいのではないでしょうか。新刊書もあるかもしれないし、その内容は多種多様にわたると思います。 寄贈を頼っているのでは、資料の収集はできないと思いますが、毎日すごい量の本が出版されている反面、捨てられていく本もすごい量だと聞きます。環境問題ともかかわってくるので、個人が捨てていく本の中から、貴重な資料として、図書館で保存できるものは、保存していってほしいと思います。 くれぐれも寄贈された本を捨てるようなことはしないでほしいです。 最近、そうではないかという経験をしました。
・図書館サービスの基本は資料と情報の提供ですが、方法の前に、設備の老朽化と資料費の不足を解消しない限り、大幅なサービス改善は難しいと感じています。その不足の中の対応なので、館により収集資料の集中というと聞こえはいいのですが、やりくりの結果、ある館では、多文化資料、ある館ではビジネス支援資料という分担収集および保存をしているという前向きにみえる構想を打ち出している感があります。しかし現実には、「多文化資料」や「ビジネス資料」の充実からは程遠い資料収集のように思われます。絶対的な資料費不足のなかでは、どう工夫しても、「充実」は難しいでしょう。そう言い切っては身もふたもないので、この方法をプラスに考えて、例えば、千里図書館が「多文化資料」の収集で誇れるようであれば、市民全体にもアッピールして、展示などもしてはいかがでしょうか。
一方、日本の現在の図書館事情の中で、資料費の現状維持を保っているだけでも評価に値しますが。
・収集方針及び選定基準のホームページ公開、インターネットでの予約、メールマガジンの開始、新着図書お知らせサービス等、コンピュータの活用が顕著に以前より進んでいることは高く評価できる。
・答申にはなかったが、これから大量に退職する団塊の世代の人々の要望に応えられるシステム作り及び資料整備等が求められると思う。(これらの人たちは今までは仕事が忙しくて好きな読書もできなかった人が多く、退職後に読書の時間が持てることを楽しみにしている人が多い)
・図書館の分担保存などは無論市内各図書館と中央図書館での分担保存が第一であるとは思いますが、府立図書館も巻き込んだ形で、要望を上げるなり、保存について積極的な提言をしてほしい。
・この項目では、
(1)郷土・行政資料等の収集計画
(2)データベースの作成
が新たな事項である。郷土・行政資料等の収集計画の中身はどのようなものなのか。一般書の収集計画とは別に作成しようとしているのか。DBの具体的な内容は、DBは職員用なのか、一般公開を予定しているのか。
4.2.2 図書館サービスの充実と拡大
・現実の社会で「人の思い」「絆」が希薄となっている。図書館としてもこの事について子ども達への躾など考慮すべきではないかと思うとき、平成19年7月22日に読売新聞に出た「とべないほたる」は必要と思う。もちろん読み聞かせや、この本を元に講座を開催も良道と思う。12巻セットだが、全巻購入することも要らないと思う。12巻セットで15,120円である。
・図書館のホームページはまだまだ利用者に十分活用されていません。どういう使われ方をしているのか、何か不足しているのか常に検証してください。メールマガジンは一部の人しか知りません。メールマガジンの内容をもっと多くの市民に知らせる手段も必要でしょう。発行して安心しないでください。
4.2.2.1 資料・情報の提供の充実
・インターネットによる資料の予約は、市民にとって有難い方法だと思います。利用件数の伸びがそのことを示しています。(でき得れば、もう少し、便利だとありがたいです。例えば、一冊ずつ、個人の番号等を入れなくてすむように)
ホームページもよくなりましたが、もう少し、デザイン面での工夫があると一層うれしいです。
4.2.2.2 レファレンスサービスの充実
・ここでは、レファレンスサービスの充実のため、例えば、
1.郷土・行政資料のデータベースを構築中であること。市民が郷土・行政関係のキーワードを入力し、データベースから回答を引出せるようにする。
2.市民からの質問の内、自館で解決できないときは府立の「eレファレンス」に送付し、回答を得られた場合は、それを質問者に回答する。
3.それ以外にも 吹田市 内の大学や専門研究機関の情報を活用した形のレファレンスワークを展開していないのだろうか?それがあればここに記載してほしい。
4.職員の検索能力の向上は、不定期の職員研修より、普段の自己研鑽が不可欠である。無論、館での職員一斉研修は必要であるが、日常のレファレンスワークを大切に真剣に取り組むように促すこと、を書き加えたらどうか。
4.2.2.3 児童サービスの充実
・司書の人たちの仕事が忙しい中を、市内の他施設・他機関との連携を取ってくださっていることは高く評価できます。しかし、学校との連携は、きちんとした学校図書館司書が配置されていないために、吹田の図書館の人たちの本来の力量が発揮されていないようです。図書館としても学校図書館の充実に向けての支援を一層お願いします。
乳幼児サービスは、他市に比べて、格段の充実です。中央館で実施されてきたことが、市内の他館でも取り組みを始めているということは、高く評価できます。乳幼児は未来の利用者であるばかりではなく、幼い時期の本との出会いが重要だからです。
・「ブックスタートのひろば」でボランティアとして関わっていますが、親たちの関心の高いことが年々参加者の増加につながっていることをうれしく思っています。さらに充実していくためにも、引き続きのスキルアップ研修をしていただきたい。また、保健センターとの連携をもっと目に見える形にしていただきたい。千里丘市民センターでの「ひろば」の取り組みは需要が多いとききます。千里丘周辺の図書館建設ともつながりますが、もっと広げていく必要があると思います。学校への配本車のことは喫緊の課題です。1日も早い実現を望んでいます。
・答申に「児童へのサービスは最重要課題のひとつ」とある通り、吹田市の図書館の児童へのサービスはレベルが高く、今後の益々の充実が期待されます。全国的にテレビやインターネットなどの影響により、児童の読書離れが進んでいる現在、本との出会いの場として、図書館の役割はとても重要です。児童の読書活動を推進する、より積極的なアプローチを図書館に期待します。
・今、行っている作業は一番いい方法であるのか、時代にマッチしているのかを探ることも必要だと思う。一年に一、二度は若年者、中年者、老年者の意見交換会を開催することも必要であろう。果たして子ども達は満足しているのか。キャッチング作業をして最善の方法を撰ぶべきではないか。児童とのコミュニケーションの改善も一考するのも考慮してみたい。
・「子どもの読書活動優秀実践図書館」の表彰はその功績を讃えたい。
・「もうよんだかな」「おめでとう1年生」「抱っこでえほん」「おひざでえほん」等素晴らしい活動がされている。
・中学校の職場体験では本校生徒もお世話になっており、貴重な体験をさせていただいていることに感謝したい。
中学校との連携については、今後さらに充実していけるよう、校長会としても考えていきたい。
・学校との連携が十分できていない原因を配本車がないことにしてよいのか。配本車がなければ連携ができないのか、ということになる。
連携という場合の中身の問題、連携とは本を大量に貸出すことなのか、学校図書館が充実していないから、蔵書が少ないから、その蔵書を補うために本を貸出すことが、連携の中身であるのか。答申では中身まで触れていないので、ここでの回答もあやふやになっている。ここでは連携の中身の一端を明確にして、それについて回答したほうがよいのかもしれない。連携の具体的な内容を示さないと市民が納得されないだろう。
・今振り返ると、「答申」中の子育てコーナーの設置はやや突出した意見であるようにも感じる。
・「児童サービスの充実」について答申では、次のことも提言している。このことについても言及してほしい。
児童サービスについて専門的な力量をもった職員の養成と配置
児童からの質問や好奇心に応える児童向けのレファレンスサービスの実施
児童の図書館内での「居場所」の確保
4.2.2.4 青少年(ヤングアダルト)サービスの充実
・中央図書館は自習室があることから10代の子どもたちの出入りは多いのですが、彼等が実際に資料に触れているかといえば疑問です。夜間開館、祝日開館など彼等も利用しやすい環境になってきている今、彼等にとって魅力ある図書館であるかどうかは重大なことです。図書館の資料を活用すること、司書たちと会話をすることなど、10代の子どもたちが積極的かつ能動的に吹田の図書館を使う市民に育っていけるような、魅力あるヤングアダルトサービスの充実の進展は重大な課題です。それには、資料に精通した司書の配置があることは欠かせません。
・児童へのサービスと比較すると中高生へのサービスがとても貧弱に感じられます。多感で好奇心旺盛な中学生、高校生にとって本との出会いは世界の視野を大きく広げる大切な機会です。本との出会いがその後の人生に大きな影響を与えると言っても過言ではありません。ところが、受験科目の国語の勉強方法により、青少年が返って読書離れする傾向があります。青少年に対する図書サービスの向上を希望します。
・ヤングアダルトへのサービスは出来ていないということであるが、方向性もでないのだろうか。これであれば取り組む姿勢が見えない。大きなことを考えるのではなく、小さな一歩を踏み出せばよいのではないか。ヤングアダルトサービスの何かに焦点をあてて、小さなサービスでもよいから始める。そのことを書いてほしい。ヤングアダルト向けの図書の選定でも、案内でも、あるいはアイディアでも。
4.2.2.5 図書館サービスの利用がさまざまな理由から困難な市民へのサービスの充実
(1)障害者サービスの充実
・障害者サービスは一括にまとめた考えでは成り立たない。「耳の障害」「眼の障害」「精神」「足・腰」それぞれに分別したサービスを基本的に考慮すべきで、突っ込みで障害者とするべきでないと思う。木目細かに、それぞれに異なったサービスでないといけない。高齢者に対しても同じことが言えると思う。
・市民はさまざまな障害をもっている。それだけにきめ細かな障害者サービスが必要である。最近は聴覚障害者へのサービスの充実が言われ始めている。情報格差による不利を乗り越えられるように図書館が手を差し伸べる工夫をしていってほしい。
(4)多文化サービスの充実
・多文化サービスは難しいものだと思います。資料の収集にしてもその分野の選択が肝心ですし、利用者とのミスマッチが生じれば資料が生きてきません。カウンターでの情報収集や、来館者の動向を観察して、求められているものをキャッチしてください。多言語による案内やポスターや職員の言語能力も求められることになりますからしっかり取り組んでください。
(図書館ボランティア)
・協議会のときに配布された入れ替えの<p.3>に「図書館ボランティア」という名称が、「来館が困難な市民へのサービス」という項目で登場しているので、ここで取り上げます。
〈達成できていないもの〉のところに「ボランティア養成講座」があがっています。前後の関係から、「来館が困難な市民へのサービス」のためのボランティアを養成する講座と取れますが、その点だけに絞り込めない違和感も覚えました。
さりげなく、「ボランティア養成講座」という言葉が入り、それは、「来館が困難な市民へのサービス」のためばかりではなく、他のサービスのためにも考慮されているようなあいまいさと不安を感じました。
4.2.2.6 ビジネス支援のためのサービスの展開
・ビジネス支援サービスが本格的になればなるほど専門的な資料、情報を求められます。先端的な産業の雑誌、図書の情報、外国雑誌・図書の情報、もう1館で対応できる範囲を超えたことを利用者は求めてきます。吹田の特徴を把握して、特定分野でのサービスを探すことも必要ですし、関係機関との連携は欠かすことができません。ビジネス支援サービスでの顧客満足度をどこで獲得するか、図書であるのか、雑誌であるのか、データベースであるのか、限られたスペースと予算のなかで難しい選択でありますが、ニーズを把握して展開していってほしいものです。
4.2.3 学校図書館・児童館・児童センターなどとの連携・協力
・小学校・中学校に配置されている「読書活動支援者」は、複数校担当で研修も保障されていません。教職員課のオリエンテーション時に図書館の職員(司書)による研修をぜひ行って欲しい。
学校に入っても何をしたらいいのか、指示もなく戸惑い、位置付けに悩まれる状況です。市費で配置されている「人」です。学校図書館でもっとスムーズに活用されるためにも図書館、教育センター、指導課との積極的な連携・協力を望んでいます。
・「吹田市子ども読書活動推進計画」にも学校や地域での読書推進が謳われています。図書館と学校がどのように連携して読書活動を推進するのか、具体的に示していただきたく要望します。
4.2.4 IT化への対応
・機械化されて進歩・進化は望まれて結構かと思うが、そうなると社会は人間らしさを失うことにもなりかねない。人と人との間に情も失い人間の生活が味気ない思いをすることにもなる。
如何に、どうして、それをカバーするか、サービスにマイナス面はどうだろう。
4.2.5 図書館ネットワークの整備
・読書会などでの資料サービスにはいつも感謝しています。近隣市との有効的な広域利用は相乗効果につながるのではないでしょうか。より一層の図書館ネットワークの整備が望まれます。
・高度な専門書はネットワークによって動きます。ネットワークなくして知は獲得不可能です。吹田市立図書館は図書の中継機能を分担する一支所の役割も担います。しかし最も隠れている機能がこのネットワーク機能でもあります。
図書館は市民にどこに情報があるのか、それを如何に探すか、そして図書館を如何に使うのかを、同時に実行していかなければなりません。ネットワーク機能が整備されたということでことは終りではありません、ようやく外部環境が整備され、これからが本格的なネットワーク時代に入っていくことになるわけですから、市民へ情報学習を提供し、自立した自学自習ができる市民の育成の支えとなっていく役割を期待します。
4.2.6 PR活動の重視
・残念ながら、吹田の図書館は、それほど親しまれている図書館といえないような気がします。まわりの人に質問しても、それほど行きたいところとはなっていないようです。あるいは行ってみたけれど、ふたたび行きたいとはおもわないという人もいます。聞いてみると、あまりよい印象をもっていないのです。暗い、恐い、注意された、うれしくない、せせこましい、本を探しにくい、どうしていいかわからない、という声を聞きます。その人に問題がある場合もあるかもしれません。
もちろん、図書館の好きな人はいますが、そういう人は、図書館の雰囲気や司書がどうとかはどうでもよくて、図書館の使い方を知っている人です。
吹田の図書館の司書の質の高さを私は誇りにしていますが、一般の人からすれば、どうも敷居が高いようです。建物の古さなどがまずあるかもしれません。また、本がいっぱいで、暗い雰囲気になっているかもしれません。書架が古いのもどうしようもないかもしれません。これでは、明るいムードを出すのが難しいかもしれません。ここを、なんとか打破していただきたい。
どんなにPRしても、再び行きたい図書館にならないと、図書館のリピーターになってもらえません。PR以前の問題として、考えていただけたら、ありがたいです。行事も大事ですが、もっと根本的なところで、「図書館大好き」な子どもたちや、若者たちや大人たちが増えることを願っています。
PRへの提言でなくて、すみません。
4.4 図書館としての情報公開と評価
・今回の「答申後の経過報告について」は忙しい中、よく検証されていると思う。今後も答申の趣旨を踏まえ自己評価する中で、素晴らしい図書館にしていってほしい。
・自己評価と第3者評価の制度化に取り組んでほしい。
4.5 図書館協議会
・図書協議会にて答申が実現できているのか否かを具体的にチェックすることにより、図書館の歩むべき目標がより具体化するので、今後も続けてほしいと考えます。
協議会開催が平日の昼間なので、仕事を持つPTA代表の委員は出席しづらい会合だと思います。
4.6 利用者や市民活動との協働
・利用者との懇談会の開催は、是非実施してほしい。
全体を通しての意見・提言
・吹田市立中央図書館を拠点に活動を続ける立場の者として、大変お世話になっていることをまずは感謝いたします。
吹田の図書館は司書率もよく、職員も集団として成り得ているのではないかと感じています。しかし、夜間開館に続く祝日開館など、職員体系が保ちにくい状況がでてきています。図書館は専門職員がいてこそ資料が生かされ、利用者に活用される。ただ「人」がいればいいというところではありません。蔵書構成がしっかりと保たれ、サービスの向上につながる図書館運営であることを願っています。そのための資料費の増額など、憂うことはあるとしてもです。
このように申しましたが、吹田市の図書館協議会は他市に比べてかなり遅れての設置ではありましたが、他市では形骸化してその役割を成し得ていないところも多くある今、図書館協議会の存在の意味するところは大きいと思います。今回の答申に対しても前向きに検討され、これからの吹田市立図書館のあり方をよくしめされたと思います。
ボランティア導入のことなど、時代の流れのなかで新しい図書館像が求められていますが、公が担うべきは100パーセントの部分であって、そのほかのプラスアルファーをボランティアが補ってこそ、その役割が明確になると思います。
地域の中でますます図書館の役割は多くなります。「いつでも、どこでも、だれでも」としての図書館が暮らしの中で使われ、市民との協働が成され、生涯学習の「場」として、今回の答申が活用されていくことを期待いたします。
・厳しい財政事情の中、図書館の命ともいえる資料費を下げることなく現状維持されていることは、職員の皆さんの努力の賜物であり、一市民として誇りに思います。
多様化する社会に伴い図書館のサービスも多様化せざるを得ませんが、本来の図書館の役割が主軸にすえられた運営が今後もなされるよう希望します。
「吹田市子ども読書活動推進計画」の中心的な役割を図書館が担い、読書活動推進の発信基地として、学校や地域や民間の団体との連携を強化して欲しいと考えます。
・市民との交流を深め、市内のあらゆる文化・芸能の総力を結集した形に図書館活動を実のあるものにしてゆくことを考えたい。(協働の一体化を図る)
・私は平成18年度から公募委員として参加させていただきましたので、平成17年11月の答申の作成に関わっておりません。したがってフリーな立場で、この答申と答申後の経過報告に、意見を述べさせていただきます。
まず、答申全体の基調で、ひとつ、市の財政問題への言及が抜け落ちているように感じました。幸い、いま、吹田市の財政状態は、北海道夕張市のように悲劇的なものではありません。しかし、歳入の不足を市債の発行で補てんしているような現状は、生活資金を借金によってまかなっている個人家計のようなもので、(明日、明後日の急迫した問題でないにせよ)やはりいつか破綻をむかえる性質のものと考えています。ですから、吹田市図書館の将来的な構想、指針である答申作成にも、この市財政の現状をどこかで認識し、その観点から現行制度、サービスの維持向上、図書充実といった具体策を提言するものであれば、より地に足がついたものとして説得性を高めたのではないかと思います。たとえば、答申には新中央図書館の建設(の検討)がうたわれているのですが、そのコスト、投資額になんら言及がないままに終わっているのも、上記と同様の趣旨で、残念でした。
また、答申は、「指定管理者制度について」の中で、公立図書館は高い専門性と公共性を求められる教育機関であるからとか、図書館利用の平等性と公平性、サービスの継続性・安定性・職員の処遇、守秘義務、市民や議会によるチェック機能が十分に確保されるか深く危惧されるからとか、やや感情的ともいえる調子で指定管理者制度導入に否定的な態度をつらぬかれています。しかし、新しい試みというものは導入期に多少の不安はあっても、(国鉄、道路公団の民営化のように)実際やってみて発見できたメリットも多々あるものです。指定管理者制度も同様と考えます。そうしたことに触れず、端から民間活力の利用を否定し、民間を不信と懐疑の目で見ておられるスタンスにつよい違和感をおぼえました。
私は、指定管理者あるいは民間業者によって運営されている京都の大学図書館を頻繁に利用していますが、現在まで利便性、公共性、サービス、そしてそこで働いているスタッフの姿勢、態度に不満、不足を感じたことは一度としてありません。それだけに、答申が指定管理者制度を一方的に否定し、断罪する姿勢に、奇異な印象と不自然さを感じました。上述した財政事情を考えるなら、(納税者の立場からは)指定管理者制度採択も将来の選択肢のひとつとしてむげに排斥すべきではないと考えるものです。答申の提出後2年が経過し、全国で走りはじめた指定管理者制度もその間に実績をつんでいるわけですから、「答申後の経過報告」の中で、それが答申のいうように危惧するようなものかどうかの検証をしてみるのも必要ではないかと思います。そして、たとえば、図書館のひとつにパイロット的に導入し、その実際の功罪を公平な観点から論じるような柔軟さも持ち合わせてほしいと願っています。
・吹田の図書館を長年にわたって利用しているもの、また司書の方々を比較的存じ上げているものとして、吹田の図書館そのものは質的に高く評価することができます。選書・蔵書の仕方は適切で、安心して利用することができ、自慢できる点です。それは、図書館で働いている司書の資質の良さということができます。しかし、一般的に、図書館は多くの市民の視野に入っていないように見受けられます。千里山・佐井寺図書館は新しく、近隣の住民が利用したい施設となっていることが数字からも現れているように、やはり施設の充実が大事です。どんなに中身がよくても、現在の施設では、市民は入りにくいようです。施設の充実(建替、改装など)をお願いします。あわせて、資料費の予算を増加していただきたい。建物が古くて、資料が古いとなれば、どんなに良質の図書館員がいても、力量の発揮しようがありません。
その他の意見
・吹田市の「子ども読書活動推進計画」が策定されたわけですが、「読書」「読書」が全文をしめているように思います。「大阪府子ども読書活動推進計画」に基づいてのことですから当然のこととは思いますが、子どもにとって「読書」がすべてではないと思います。いい「読書」をするためには、そのための環境作りが大切です。学校で一日の大半を過ごす子どもたちにとっての「読書」をする場所は学校図書館です。吹田市の小・中学校の学校図書館の整備・充実に向けての環境作り。そしてそこには、専任の「人」の配置。学校図書館は「学習支援をする専門図書館」としての役割も担っています。学校図書館を充実してこそ子どもの読書活動が「生きる力」「考える力」につながり、教育に生かされてこそ、豊かな子どもの学びと育ちが保障されるのです。吹田の子どもの未来が豊かで、平和で、大人になっても吹田に住み続けたいと思えるような、そんな環境作りをしていくことは、私たち大人の責任ではないでしょうか。今回の「読書活動推進計画」が、市民のみなさんに広く伝えられ、図書館を「核」として、学校、子育て支援課、保健センター、教育センターなど、緩やかに連携がとられて、大いに生かされていくことを期待いたします。
後になりましたが、また「吹田子どもの本連絡会」でも協力させていただきます。
・市民全体が自分の住んでいる町に誇りを持てるためには、環境問題への意識向上が不可欠だと思います。一般フロア、児童フロアに関係なく、身近な自然への興味から環境問題への意識が高まるようなコーナーを作って欲しいと思います。
・夏休みに児童フロアにて、戦争に関する特設コーナーが設けられていますが、今後もより内容を充実させ、続けて欲しいと思います。
・子どもたちと書籍との出会いの場として、書籍の陳列方法に常に工夫が凝らされた児童フロアであって欲しいと思います。
・図書館協議会の委員を2年間させていただきましたが、その存在意義がいまだにわかりません。協議会で、委員の方々の熱心な意見を聞いて感心し、その会を傍聴される市民がおられることに驚きましたが。
でも、図書館の利用者は協議会の存在はしりません。知らなくても、必要な時に図書館に行き、本を探し、借りていきます。 利用者が知らないところで、図書館のことを少しでもよくしていこうと考えている協議会があるということを知ったことが、大変有意義なことだとは思っています。以上