子どもたちが本を読まなくなったといわれはじめて久しいのですが、図書館における貸し出しの3割は、児童への貸し出しです。当館にも、読みたい本を探してリクエストをする子もいれば、OPAC(利用者端末)を駆使して目当ての本を見つける子もいます。つまり、本を読む子と読まない子との格差が目立ってきているということです。
今、本を読まない子は、本を読まない大人に囲まれた子どもたちと言い換えることができます。子どもには「本を読みなさい」と言う大人自身が、読書から遠ざかっていないでしょうか。第52回読書世論調査によると1ヶ月に1冊も本を読まない成人は4割もいます。これでは、大人が読書の意義をどんなに力説しても、説得力がありません。周りにいる大人が本を読む姿を子どもに見せることが何よりのメッセージです。
また、身の回りに感動できる本がなく、本の世界で冒険をしたことのない子どもが増えてきている、ともいえます。その要因として考えられるのは、幼い頃に読み聞かせをしてもらった経験がなく、読書の楽しみを知らないこと。学校・塾・稽古事・クラブ活動などで子どもたちが忙しすぎること。メディアが多様化し、子どもたちの興味が分散してきていること。本を読むこと=知識を得ることという大人側からのプレッシャーなど様々です。
そのことに気がつき、子どもと本を結びつける活動をしている人たちが全国に大勢います。本当に子どもたちに出会って欲しい本を作ろうとしている作家・編集者・出版社。地道にいい本だけを売り続ける子どもの本屋さん。その本を子どもたちに紹介している文庫の主宰者や児童図書館員。そしてたくさんのおかあさんやおとうさん。これからは、そういった方たちが連携していくネットワークづくりが必要です。子どもたち1人1人へのサービスをより充実させるための、資料の相互利用の促進、個々の持つ情報の公開、読書活動への援助などの拠点として全国の図書館や「国際子ども図書館」が活動するときです。