『のはらうたⅠ・Ⅱ・Ⅲ』 工藤直子/著 童話館 1948から
野原に住む虫、花、動物、風や水のつぶやく詩が、詩人工藤直子さんの言葉を借りて形となりました。かぜみつるくん、てんとうむしまるくん、こぐまきょうこちゃんたちの声に耳を傾けていると、野原に行って語り合いたい気持ちになります。
著者は、詩や童話を書くとき「自分の内側にかくれているこどもの頃の自分といっしょに、あそびながら書いています」(『ライオンのしっぽ』より)と言っています。
『かもさんおとおり』 ロバート・マックロスキー/作 渡辺茂男/訳 福音館書店 1965
鴨のマラード夫妻は、ボストンの川の中州で卵を生み、ひなを育てます。そこから公園のすみかまで、お巡りさん達を巻き込んだ、マラード奥さんと8羽のひなたちの行進が始まります。
作者は、いきいきとした鴨の姿を描くため、四羽のあひるをアパートに連れ込んで、スケッチ・ブックを持って追いかけていたということです。
この作品は、1942年度のコルデコット賞を受賞しました。
児童文学
『ナルニア国ものがたり 全7巻』 C・S・ルイス著 瀬田貞二/訳 岩波書店 1966
第一次世界大戦の戦火を逃れて疎開した先で、ピーター・スーザン・エドマンド・ルーシーの兄弟姉妹は古い衣装ダンスに入ります。そこには、フォーンや小人、動物たちの住むナルニア国がひろがっていました。そこで、4人は魔女たちと戦い、ナルニア国を救います。
この作品は、ルイスがトールキンの『指輪物語』に刺激を受けて書いたと言われています。
著者のルイスは、1898年生まれ。イギリスの文学者であり神学者です。オックスフォード大学、ケンブリッジ大学で英文学の教授を務めました。
第七巻『さいごの戦い』で1957年度カーネギー賞を受賞しています。
『コロボックル物語 全5巻・別巻』 佐藤さとる/著 講談社 1959から
日本に昔から住んでいるコロボックルのお話です。「目に見えないものは存在しない」のではないのです。私たちの感じる力・想像力が甦るようなファンタジーです。
戦後日本の児童文学を代表する作品の一つで、初版は講談社から若菜珪のさし絵で1959年に刊行されました。その後、村上勉がさし絵を担当し、コロボックルたちを描いています。