当館では、地元に関する資料、すなわち、福島県や県人(在住者、出身者、縁の人等)に関する資料、そして県人の著作を、地域資料として収集・整理・保存し、利用提供しております。業務を担当する「郷土資料係」は、昨年4月、「地域資料チーム」と改称しました。今のところは、郷土資料という呼び方のほうが、ポピュラーかもしれません。
さて、言うまでもなく、地域資料は、その地方独自の貴重な情報です。特に、雑誌には、単行本としてまとまる前の、バラエティに富んだ、きめ細かい情報が沢山掲載されています。どの雑誌にどのような情報が載っているか。誰がどういう文章を書いているか。○○について書かれている文献はあるか等々、情報を素早く的確に検索できるようにするためには、1冊1冊の内容の詳細なデータが必要です。
資料を使いやすくするために、図書館では、本や雑誌の書誌データを整備し、レファレンス資料を集め、検索の便宜を図っています。データや文献目録、索引資料の中には、市販されているものもあります。しかし、地域資料の場合は、全国的に流通している一般資料と異なり、共通仕様の書誌データや、レファレンス資料、検索ツール等がありません。
つまり、使いやすい資料・情報群を構築するためには、自分達が全てのデータを整備し、ツールを作成していかなければならないのです。
購入、或いは寄贈等により、当館では、地元に関する雑誌を多数所蔵しています。
利用の便宜を図るために、1998年より、雑誌記事索引データ作成を開始しました。雑誌に掲載されている個々の論文や記事等について、論文・記事名、執筆者名、件名、ページ数等の諸項目をデータ入力しています。 館内利用者用端末、及びインターネット上での検索ができます(当館HP・蔵書検索画面 http://www. library.pref.fukushima.jp/)。現在、論文・記事名、執筆者名、件名で検索が可能です。
現時点では、人手と時間という制約があるため、比較的利用の多い歴史分野の資料を中心に、50誌のデータ作成を行っています(採録誌は下記の通り。これ以外の雑誌でも、部分的に内容をデータ化しているものがあります)。電算化の時点で、バックナンバー分まで溯ってデータ作成を行い、現在に至っています。但し、欠号分(当館未所蔵のもの)はデータ化されていません。大学紀要など、他機関による検索ツールが想定されるものも採録していません。将来は、採録分野を拡大したいと考えています。
記事索引作成の具体的な作業は、雑誌そのものの整理(受け入れ、データ整備、装備等の通常整理)作業終了後、人名や地名、専門用語の読みガナの調査、データ入力、読みガナ・誤字脱字等の校正作業等があります。時間と労力がかかりますが、地域資料サービスにとって、とても重要な業務ととらえています。 その地域固有の資料・情報について、網羅的な収集・整理・保存・利用提供は、地元の公的機関が責任をもって行うべきものです。地域の図書館が、唯一保存し提供している資料も少なくありません。資料・情報の地域還元のために、書誌や索引の作成といった、データ整備・検索ツールの充実は、広い意味での、図書館からの情報発信と言えましょう。大切な資料・情報を、少しでも役立つ形で提供できるよう、これからも努力したいと思います。