図書館だよりNo.161

 

ごろすけのイラスト

2005(平成17年)12月21日発行
編集・発行 福島県立図書館
〒960-8003 福島市森合字西養山1番地
電話番号 024-535-3218 ファックス 024-536-4787
http://www.library.fks.ed.jp

 

「受賞作品」を読んでみませんか?

出版物に与えられる賞にはどのようなものがあるか、みなさんはご存知ですか。芥川賞や直木賞は、毎回マスコミでも報道され話題となりますし、日本SF大賞や江戸川乱歩賞などの名前を、書店や本の帯で目にされたことがあるかもしれません。出版物に与えられる賞には、小説や詩集に贈られる文学賞だけではなく、さまざまな分野のものがあります。

県立図書館では、次にご紹介するような賞の受賞作品を継続的に収集し、提供しています。今まで読んだことがない分野の本も、ぜひ挑戦してみてください。

 

日経・経済図書文化賞

日本経済新聞社と日本経済研究センターの共催で、過去1年間に出版された経済図書のなかで優れた図書に贈られる賞です。

  • 2005年(第418)『高齢者就業の経済学』清家篤・山田篤裕/著,日本経済新聞社,366.28/セア04/X
  • 2006年(第49回)『障害者の経済学』中島隆信/著,東洋経済新報社,369.27/ナタ062
  • 日本経済研究センターのホームページhttp://www.jcer.or.jp/には、これまでの受賞作品の掲載があります。

毎日出版文化賞

優れた著作、出版活動をした著者・翻訳者・出版社を顕彰。1年間に発行された出版物(電子出版物・翻訳本を含む)の中から、4部門(文学・芸術、人文・社会、自然科学、企画)に分けて選ばれます。

  • 1947(第1回)『液体理論』戸田盛和/著,河出書房,428.3/T
  • 2006年(第60回)『益田勝実の仕事』全5巻 鈴木日出男・天野紀代子/編,ちくま学芸文庫,910.8/マカ065/1-5

和辻哲郎文化賞・一般部門/学術部門

姫路市制百周年と姫路出身の哲学者和辻哲郎の生誕百年を記念して、姫路市が創設したものです。文学、歴史、芸術などさまざまな領域において、文化一般における優れた著作に与えられる一般部門と、哲学、倫理学、宗教、思想、比較文化といった領域での優れた論文に与えられる学術部門に分かれています。

  • 1996年(第9回一般部門)『バベルの謎』長谷川三子/著,中央公論社,193.211/H1
  • 1999年(第12回一般部門)『文明のなかの博物学』上・下巻,西村三郎/著,紀伊国屋書店,460.2/N1

図書館ではこのほかに、読売文学賞・岸田國士戯曲賞・大宅壮一ノンフィクション賞・土木学会賞・日本翻訳出版文化賞・中山義秀文学賞 などの受賞図書を所蔵しています。

本に関する名言 32

古い本が古典なのではない。最一級の本が古典なのだ。
(モンテーニュ)『本の問答300選』出版ニュース社

新着案内

各分野の担当者が選んだ、お勧めの新着資料をご紹介します。

人文・自然

落語「通」検定 YAHOO!インターネット検定公式テキスト

社団法人落語協会/監修,779.13/ラク06Z

落語の演目・歴史・用語、寄席のマナー、弟子入りから一人前の噺家になるまでの流れなど、落語についての基礎知識を全般的に学ぶことができる一冊です

これで安全食べ方上手:食品添加物・農薬に負けない

増尾清/著,晶文社 498.54/マキ06X

食品の安全問題について、わかりやすく書かれています。食品添加物、農薬がどう使われているか。また、自己防衛策であった食卓の知恵は、現在食生活の急激な変化により失われつつあります。この本では昔からある食卓の知恵を紹介しています。

市民マラソンの輝き:ストリートパーティーに花を!

大島幸夫/著,岩波書店 782.3/オユ06X

マラソンの社会文化、歴史やマラソンから広がる人間ドラマが書かれています。走る世界に魅せられた人々、マラソンを支える技術者たちを紹介。巻末には、国内外の市民マラソンの開催時期・場所等の案内が付いています。

社会

現在刊行中のシリーズの中からご紹介します。未刊の巻は、刊行され次第ご利用いただける予定です。

興亡の世界史

(全21巻) 講談社 902/ココ06Y ※既刊1,6,19

世界中で数々の文明が興り、栄え、滅びていきました。カルタゴや東インド会社なども含む世界各地の文明、帝国の興亡をテーマに構成されています。巻末には年表、主要人物略伝があり、参考文献は解説つきで、理解を深めるために役立ちます。

戦争の日本史

(全23巻) 吉川弘文館 210.08/セヨ06X/1 ※既刊1,2,5,13,15

戦争はなぜ起きたのでしょうか、なぜ起きるのでしょうか。人間の歴史の中で、戦争は何度も繰り返されてきました。日本でおきた内乱や戦乱などを「戦争」ととらえ、古代の動乱から太平洋戦争まで、戦争の実態や背景をもとに時代との関連性が記されています。

リーディングス日本の教育と社会

日本図書センター ※既刊1,3,4

「学力問題・ゆとり教育」「子育て・しつけ」「いじめ・不登校」「学歴社会・受験戦争」「非行・少年犯罪」など、教育にかかわる諸問題をテーマとした論文集です。現在、教育の現場でおきている現象を分析し、社会的な視点を踏まえて考えるための材料となる資料です。

雑誌・新聞

芥川賞受賞作・候補作は雑誌・新聞コーナーで読むことができます。

〔136回平成18年度下半期受賞作〕

青山七恵「ひとり日和」『文藝』平成18年秋 河出書房新社 Z910.5/B6

〔候補作〕

佐川光春「家族の肖像」『文學界』平成18年12月号 文藝春秋 Z910.5/B2

柴崎友香「その街の今は」『新潮』平成18年7月号 新潮社 Z905/S

田中慎弥「図書準備室」『新潮』平成18年7月号

星野智幸「植物診断室」『文學界』平成18年9月号


〔135回平成18年度上半期受賞作〕

伊藤たかみ「八月の路上に捨てる」『文學界』平成18年6月号

〔候補作〕

鹿島田真希「ナンバーワン・コンストラクション」『新潮』平成18年1月号

島本理生「大きな熊が来る前に、おやすみ。」『新潮』平成18年1月号

中原昌也「点滅……」『新潮』平成18年2月号

本谷有希子「生きてるだけで、愛。」『新潮』平成18年6月号

地域

福島市周辺の山

手塚啓一ほか/編 L786/F1/2-30

福島キヤノン山の会会報(踏跡第35号)。福島市・伊達市・伊達郡の山、計85峰を案内。信夫山、半田山など著名な山をはじめ、なかには道がなく、藪こぎをして登った苦心の山行も。参考コースタイム付き。また、当館には1/25000分の地図もありますので、併せてご利用ください。

会津近代の始まり:復興、そして若松市の誕生

会津若松市史研究会/編 L216/A42/1-8

会津若松市史歴史編第8巻。戊辰戦争後の混乱、雌伏の時を経て復興する若松の様子、近代教育の歩み、また各界で名を成した会津人の活躍を紹介。現在刊行中の会津若松市史は、図版が多く理解しやすいシリーズとなっている。

常磐地方の鉱山鉄道:歴史の鉱石を運んだ車輪の響き

おやけこういち/著 L561.6/O1/1

日本有数の規模を誇った常磐炭田。その石炭を運搬するために多数の鉄道・軌道が敷設、利用された。本書は、往時の状況と廃線後の現在の姿を写真やデータを駆使して詳細に解説している。著者は他にもこの本のルーツである『常磐地方の鉄道:民営鉄道の盛衰をたどって』や『小名浜・鉄道往来記』等いわき地方の民営鉄道に関する著書があり、そちらもおすすめ。