図書館だよりNo.153

 

ごろすけのイラスト

2005(平成17年)12月21日発行
編集・発行 福島県立図書館
〒960-8003 福島市森合字西養山1番地
電話番号 024-535-3218 ファックス 024-536-4787
http://www.library.fks.ed.jp

 

『戦後60年ベストセラー展』を開催

1945(昭和20)年に第二次世界大戦が終わり、60年が過ぎました。県立図書館では、この機会に1946(昭和21)年から2004(平成16)年までの年間ベストセラー上位10位までの本の中から何冊か選び、展示します。また、年間ベストセラー上位10位の一覧及び当館所蔵資料の一覧にしたものを作成しましたので、そちらもご覧ください。

公開図書室中央の百科事典コーナー横の展示スペースにおいても、戦後60年のベストセラーの本を展示します。こちらの展示スペースにある本は自由に手にとってご覧いただけるほか、貸出が可能になります

その時々に多くの人に読まれた本から、そのときの世相を垣間見ることができます。戦後、人々はどのような本を読んできたのか、時代とともに移り変わってきたベストセラー本から戦後を振り返ります。

平成17年9月2日金曜日から12月27日火曜日
展示コーナーにて開催

ベストセラー(best seller)とは?

ある短い期間に大変評判になり、ほかの本と比べて大部数売れた書籍のことを指します。

この大部数とは相対的な数で、日本では一般的に10万部単位であるとは言われていますが、絶対的な基準があるわけではありません。ベストセラー(ズ)という語は、1985年アメリカの月刊文芸誌『the book man』によって広められました。日本で最初にこの言葉が用いられたのは、『週刊朝日』1946年5月19日号だとあります。①②(これには更に昔、1914年に雑誌『学鐙』誌上の広告で紹介され、実際に広く知られたのは1949年『週刊朝日』の「記録文学への胎動-ベストセラーズを解剖する」という記事以降だとする資料もあります。③④)

参考

  1. 『出版事典』出版ニュース社、p412
  2. 『最新図書館用語大辞典』柏書房、p509
  3. 『日本大百科全書 21』小学館、p26から27
  4. 『平凡社大百科事典 13』平凡社、p490

2005年読書週間マーク

2005年「読書週間」マーク

新着案内 各分野の担当者が選んだ、お勧めの新着資料をご紹介します。

人文・自然

生き物文化誌 ビオストーリー 第3号
ビオストーリー

編集委員会/編 460.5/イキ047/3

毎号人間と生き物の関わりについて、科学・文化を問わず、多方面の専門家が執筆した特集コラム・投稿論文を掲載しています。本書はその第3号。特集は「鯉」です。工芸品としての鯉、食べ物としての鯉、生物学から見た鯉、コイヘルペスなど、一口に鯉といっても論点は様々です。写真も多く、コラム形式で読みやすいものになっています。

書物愛 日本編

紀田 順一郎/編 908.3/キシ055

同じ本を何冊も収集する老人の謎が描かれた、横田順彌の『古書狩り』や、一冊の本とそこに挟まれた名刺が一人の女性の生き方を変える、宮部みゆきの『歪んだ鏡』など、書物をテーマにした小説9作品を収録しています。また、同じテーマで海外編があります。

社会

自閉症裁判 レッサーパンダ帽男の「罪と罰」

佐藤 幹夫/著 326.23/サミ053

2001年4月に浅草で起きた殺人事件についてのルポルタージュ。筆者は、養護学校の教員を勤めた経験があり、知的なハンディを持つ人が犯罪者となった場合、障害の症状の特性を正しく理解した上で、取調べや裁判を行うことの必要性を訴えています。また、この事件について、背景も含めて明らかにすることによって、知的障害や発達障害を持ちながらも、家族の支えを受けることができず、福祉の支援からもこぼれてしまう人びとの存在が浮き彫りとなっています。知的障害を持つ人びとに対して、社会はどのようにバックアップしてゆけばよいか、非常に重要な問題が提起されています。

世界の賞事典

日外アソシエーツ/編 377.7/ニチ051

ノーベル賞、アカデミー賞、チャイコフスキー国際コンクールなど、世界的に権威のある賞の概要と第1回からの受賞者が収録されています。著名な賞について調べる際に便利な1冊です。(この資料は、図書館内でご利用ください。)

雑誌・新聞

芥川賞・直木賞と雑誌・新聞

数ある文学賞の中で最もポピュラーな芥川賞と直木賞は、新聞や雑誌に発表された作品から選ばれていることをご存知ですか?

単行本化されたり、受賞後に改めて雑誌『文藝春秋』(文藝春秋)と『オール讀物』(文藝春秋)の3月号・9月号にも掲載されるのです。

最新の芥川賞は、福島大学行政社会学部を卒業した中村文則さんが執筆した『土の中の子ども』(新潮社)に決定し話題になっていますが、この作品は受賞前に雑誌『新潮』(新潮社)平成17年4月号に掲載されたものです。

また、直木賞に決定した朱川湊人さんの短編集『花まんま』(文藝春秋)は、単行本として出版されましたが、雑誌『オール讀物』の平成15年11月号、16年4月号、7月号、11月号、17年1月号にそれぞれ掲載されていました。 新聞の連載小説では、1998年に直木賞を受賞した宮部みゆきさんの『理由』(朝日新聞社)が『朝日新聞』の夕刊に連載された作品です。

地域

ネットと戦争

青山 南/著 LA302/A1/1

2001年のニューヨークテロ事件以降のアメリカ文化を、インターネットという新しい情報媒体がどのように伝えているかを、翻訳家、大学教授である著者が概説した本。事例が豊富で、多方面への目配りが効いています。著者は福島県出身。

ハンセン病と女医服部けさ 救らいの女神

最上 二郎/著 L289/H21/6

服部けさは、野口英世とほぼ同時代の女医です。ハンセン病を知り、群馬県草津でその治療に尽くしました。彼女の妹は『青鞜』の創設メンバーである水野仙子(服部てい)で、多才な姉妹を生んだ須賀川という風土も併わせて紹介されています。

『義経の龍虎』

風野 真知雄/著 LA913.6/A4/18

TVドラマなどで「源義経」が話題となっていますが、本書はその家臣である佐藤継信、忠信兄弟(信夫郡の豪族)を主人公にした歴史小説で、忠臣という通説にとらわれず、人間らしい二人が丁寧に描かれています。