平成22(2010)年度から平成24(2012)年度に紹介した「お薦めの1冊」

 

『わかりあえないことから コミュニケーション能力とは何か』

平田オリザ/著 2012 講談社

「コミュニケーション能力」が過度に要求される昨今ですが、そもそもその中身について考えたことがありますか?グローバル化が進み日本社会が変貌する中、世間が求めているコミュニケーション能力には実は矛盾が内包しています。大阪大学の教授で劇作家の著者が発想を転換させ、これからのコミュニケーションを乗り越えるための考え方を提案します。

2013年3月21日(木曜日) vol.106掲載

 

『道はみんなのもの』

クルーサ/文 モニカ・ドペルト/絵 さ・え・ら書房

都市化が進み、遊び場が道路しかなくなってしまった子どもたちは、「遊び場がありません。公園をつくってください。」と書いた横断幕を作りました。遊び場を作るには、大人の力が必要です。子どもたちの切なる願いは、大人たちを動かすことができるのでしょうか。実話をもとに描かれたベネズエラの絵本です。

2013年2月20日(水曜日) vol.105掲載

 

『ふるさと60年 戦後の日本とわたしたちの歩み』

道浦母都子(みちうら もとこ)/文 金斗鉉(きむ とうげん)/絵 2012 福音館書店

戦後60年以上が過ぎ、私たちの生活環境は大きく変わりました。本書は、定点観察の手法を用い、1946年から、5年毎にある町の光景を描いています。各時代の特徴的な遊びや暮らしの様子が生き生きと表され、ページをめくりながら時代の移り変わりを感じることができます。家族三世代で会話をしながら楽しんで頂きたい1冊です。

2013年1月21日(水曜日) vol.104掲載

 

『137億年の物語 宇宙が始まってから今日までの全歴史』

クリストファー・ロイド/著 文藝春秋

世界の歴史を語るとき、最初の章を何にしますか?この本の第一章は、「ビッグバン宇宙の誕生」です。137億年前から今日まで、地球上で起きた様々なできごとを、42のテーマによって、時系列でまとめあげています。世界中をめまぐるしく廻りながら、現代に向かって旅するように読める歴史の本です。

2012年12月20日(木) vol.103掲載

 

『慶長・元和大津波 奥州相馬戦記』

近衛龍春/著 毎日新聞社

戦国時代、強敵・伊達政宗を相手に一歩も引かずに戦いを挑んだ相馬藩第16代当主・相馬義胤の生涯を記した小説。戦国の世を、小国ながらも、家臣の武勇と外交交渉によって生き抜いてきた義胤。改易や大津波などの藩の危機にも義を重んじ、古からの領地を愚直に守らんとする義胤の生き様に心打たれる作品です。

2012年11月21日(水曜日) vol.102掲載

 

『絶望の国の幸福な若者たち』

古市 憲寿 著 2011 講談社

財政問題、経済停滞、格差社会と、課題が山積している日本。これからを生きなければならないこの国の「若者」達は果たして不幸でしょうか?実は彼らの多くは、自分達の置かれた今の状況に満足だと答えています。若者と同世代の社会学者が、若者と「若者論」を徹底的に調査し、そこから見える日本社会を浮彫りにします。

2012年10月22日(月曜日) vol.101掲載

 

『3つのなぞ』

ジョン・J・ミュース/作,三木卓/訳 2012 フレーベル

ニコライ少年は、自分の人生で「いつがいちばんだいじなときなんだろう?」、「だれがいちばんだいじな人なんだろう?」、「なにをすることがいちばんだいじなんだろう?」という3つのなぞのこたえを探しています。ニコライと一緒にこたえを考えてみませんか? 文豪トルストイの『三つの疑問』というお話に着想を得た絵本です。

2012年9月21日(金曜日) vol.100掲載

 

『ヤモリの指から不思議なテープ』

石田秀輝/監修 アリス館

ヤモリやハスの葉、蚊・・・など、生き物や自然から学んだ16のすごい!技術を、イラストを交えながら分かりやすく紹介。自然界にあるものをあたりまえだと思わずに探求し続け、開発に成功した人々の工夫と智恵がぎっしり詰まっています。高度な科学技術を身近に感じられる1冊です。

2012年8月21日(火曜日) vol.99掲載

 

『地球のごはん 世界30か国80人の“いただきます!”』

ピーター・メンツェル,フェイス・ダルージオ/著 TOTO出版

インドの苦行僧、エジプトのラクダ商人、日本の力士などなど、世界30か国80人の人々が1日にとった食事を、その総カロリーの低い順に紹介しています。800kcalから12,300kcalまで、実に幅広い「今日のごはん」の内容から、多様な社会や人生が垣間見えてきます。『地球の食卓 世界24か国の家族のごはん』の続編です。

2012年7月20日(金曜日) vol.98掲載

 

『歴史物語 新島八重の生涯』

吉村康/著 歴史春秋社

幕末の混乱期に会津藩士の娘として生まれた新島八重。平成25年NHK大河ドラマの主人公として描かれることとなった彼女は、「悪妻」「烈婦」と呼ばれるほどに力強く、また「ハンサムウーマン」と呼ばれるほどに生き生きと時代を駆け抜けていきました。

県立図書館『「八重の桜」~新島八重とその時代~展』(6月30日から)とあわせて本書を読み、大河ドラマに向けて八重のことを調べてみませんか?

2012年6月20日(水曜日) vol.97掲載

 

『ピエタ』

大島真寿美/著 出版社名 ポプラ社

ヴェネツィアの作曲家・ヴィヴァルディを題材にとった小説です。ピエタ慈善院で働くエミーリアは、恩師・ヴィヴァルディの突然の訃報の後、後援者からの依頼で消えた一つの楽譜を探すことになりますが、そのことにより普段見えない町の裏側と恩師の秘密を知ることとなります。

2012年本屋大賞ノミネート作品です。

2012年5月23日(水曜日) vol.96掲載

 

『あさになったのでまどをあけますよ』

荒井良二/著 偕成社

震災後、「やまは やっぱりそこにいてきは やっぱりここにいる」という、当たり前だと思っていた日常の風景が、本当はとても大切なことだと気づきました。

山に住む人、街に住む人、川辺に住む人、海辺に住む人、それぞれの朝を力強く暖かなタッチで描いた絵本です。「あさになったのでまどをあけますよ」という言葉とともに、窓を開けたときに見える風景が広がります。

2012年4月23日(月曜日) vol.95掲載

 

『神聖なる海獣 なぜ鯨が西洋で特別扱いされるのか』

島基弘/著 ナカニシヤ出版 2011

元環境保護団体員の著者が、一部の動物だけ「えこひいき」される現実への疑問から、その代表格“鯨”の西洋における特殊性を考察した本です。鯨・捕鯨問題を通し、政治・ビジネス・メディア等が人々の価値観形成に及ぼす影響を考える題材としても役立ちます。文献・映像作品等、関係資料の紹介が豊富な点も特長です。

2012年3月21日(水曜日) vol.94掲載

 

『選択の科学』

シーナ・アイエンガー/著、櫻井祐子/訳 文芸春秋

私達は自らの手に選ぶ権利がない場合には不満を感じますが、選択肢が多すぎると選ぶことを放棄してしまうことがあります。情報やモノが氾濫する社会で、的確な判断を下すことは実に困難です。コロンビア大学ビジネススクール教授が、選択に関する広範な実験・研究を元に選択が人生に及ぼす影響について、講義形式で考えます。

2012年2月20日(月曜日) vol.93掲載

 

『わたしのひかり』

モリー・バング/作、さくま ゆみこ/訳 評論社

私達が普段、当たり前のように使っている電気はどのように作られているのでしょうか。

この絵本では、その源となる“太陽”そのものが光からエネルギーへと変わっていく様子などが分かり易く書かれています。巻末では、様々な発電方法の長所・短所を解説。

子どもから大人まで、これからのエネルギーについて深く考えさせられる1冊です。

2012年1月20日(金) vol.92掲載

 

『私と20世紀のクロニクル』

ドナルド・キーン/著 中央公論新社

震災を機に日本への永住を決めた日本文学研究者ドナルド・キーン氏の自伝です。

2007年に発行されたこの本の中で、すでに氏は「日本は、いつだって私が行き着く最後の港なのだ。」と記していますから、永住はまさにその体現なのでしょう。わたしたちの身近にある文化を改めて知りたくなる1冊です。達が普段、当たり前のように使っている電気はどのように作られているのでしょうか。

2011年12月22日(木曜日) vol.91掲載

 

『論文捏造』

村松秀/著 中央公論新社 2006

アメリカの名門ベル研究所の若き「天才科学者」が起こした,過去最大規模の論文捏造事件。多数の関係者への取材で明かされた事実から,現代科学社会の問題点に迫った1冊です。本書の元になったNHK特集番組は,国内外複数のコンクールで受賞。本文中の専門的な事柄は丁寧な解説がなされており,科学読本としても楽しめます。

2011年11月21日(火曜日) vol.90掲載

 

『本づくりの匠たち』

グラフィック社編集部/編 2011 グラフィック社

本書は、印刷や製本の精緻な技術を持つ「本づくりの匠たち」を取材したデザイナー・長久井氏の連載を一冊にまとめたものです。

匠たちのプロ意識や、薄紙印刷等の多様な技がうかがえる写真が多く掲載されています。また、どのテーマからも読み始めることができるため、楽しく手軽に本づくりの奥深さを知ることができます。

2011年10月25日(月曜日) vol.89掲載

 

『さがりばな』

横塚眞己人/作 講談社

“さがりばな”という花を知っていますか?この花が咲くのは、なんと、一晩だけ!

翌朝には白やピンクの花びらを水面に落とし、残っためしべがやがて実となり、次の世代へと命を繋いでいきます。

花言葉は「幸福がおとずれる」。日本では奄美大島以南でしか見ることはできませんが、この写真絵本で、“さがりばな”の儚くも美しい世界をお楽しみください。

2011年9月21日(火曜日) vol.88掲載

 

『ふくしまお国自慢カルタ 読み手CD付き』

福島中央テレビ/製作 福島中央テレビ

震災により本県は大きなダメージを受けましたが、本来、私達のふるさと『福島県』は豊かな自然や多様な文化に恵まれた土地です。

本資料は、滝桜や磐梯山、相馬野馬追など県内59市町村各々が誇る「お宝」をかわいらしいイラストのカルタで紹介しています。

県立図書館で開催中「私たちのふるさと展」と合わせて、福島県の魅力を再確認されてはいかがでしょうか。

2011年8月22日(月曜日) vol.87掲載

 

『あやつられ文楽鑑賞』

三浦しをん/著 ポプラ社

時にミーハーに、時に真剣に、時には睡魔と戦いながら文楽を鑑賞した記録。巻頭に“なんだよ、侍って。なんだよ、町人って。いまの時代にそんなひとはいないよ!”とある通り、古典芸能のお話は現代の感覚に合わないところもありますが、“時代を経ても不変な人間の心”を伝える文楽の魅力をあますところなく紹介した1冊です。

2011年2月21日(月曜日) vol.81掲載

 

『ジブリの森へ 高畑勲・宮崎駿を読む』(叢書・〈知〉の森3)

米村みゆき/編

時にミーハーに、時に真剣に、時には睡魔と戦いながら文楽を鑑賞した記録。巻頭に“なんだよ、侍って。なんだよ、町人って。いまの時代にそんなひとはいないよ!”とある通り、古典芸能のお話は現代の感覚に合わないところもありますが、“時代を経ても不変な人間の心”を伝える文楽の魅力をあますところなく紹介した1冊です。

2011年1月20日(木曜日) vol.80掲載

 

『「坂の上の雲」の松山を歩く』

愛媛新聞社

司馬遼太郎原作のドラマ「坂の上の雲」が放送されています。本書は、主人公である秋山好古・真之兄弟、正岡子規が生まれ育った松山のゆかりの地43ヵ所を写真や当時のエピソードを交えて紹介しています。巻末には当館佐藤文庫所蔵の『明治37年頃の松山市全図』も収録されています。ぜひ、原作・ドラマと御一緒にお楽しみください。変な人間の心”を伝える文楽の魅力をあますところなく紹介した1冊です。

2010年12月20日(月曜日) vol.79掲載

 

『木?それとも草?竹は竹(月刊たくさんのふしぎ第307号)』

柴田昌三/文 石森愛彦/絵 福音館書店

民家の軒先に咲く花や樹木に関心を寄せることはあっても、竹に注目する人はあまりいないと思います。そんな人にこそ、手に取って頂きたい本です。一部の孟宗竹が67年周期で花を咲かせることや竹と笹の違いなど、普段疑問にも思っていなかったことが次々と提示され、解説されていき、得した様な爽快な気分になれます。

2010年11月22日(月曜日) vol.78掲載

 

『ふるさと散歩〈安積・本宮・須賀川・田村編〉』

歴史春秋社

歴史や文化に触れながらウォーキングして、メタボ解消!

短い所で30分、長くても2時間ほどで巡れる郡山市・本宮市・須賀川市・三春町の32コースの名所散歩道をフルカラーで紹介。豊富な写真に加えて各コースの略図や見所のほか、立寄りスポットの紹介もついています。この本を片手に、身近なふるさとの街を散策しませんか?

2010年10月20日(水曜日) vol.77掲載

 

『ヒエログリフを書いてみよう読んでみよう』

松本弥/著 白水社

芸術の秋、図書館のお隣美術館では9月18日から「古代エジプト 神秘のミイラ展」が開催されています。古代エジプト文字ヒエログリフは鳥や蛇など絵のような文字ですが、表意文字ではなく表音文字ということはご存知ですか?ローマ字感覚で自分の名前を書くこともできます。展覧会を見たあとは、図書館でさらにエジプトについて知ってみませんか。

2010年9月21日(火曜日) vol.76掲載

 

『森合郷土史』

森合歴史資料保存会/発行 安斎 昭三/監修

地域の住民団体が力を合わせて編纂したことが評価され、今年度の「第33回福島民報出版文化賞」奨励賞を受賞した1冊です。一つ一つの事柄を簡潔にまとめ、関連する図表や写真を多用しているため、過去から現在の森合の姿が理解しやすくなっています。

送り仮名や注釈もついており、郷土を学ぶ子どもにもお薦めです。

2010年8月20日(金曜日) vol.75掲載

 

『キャンプで使えるアウトドアゲーム集』

(財)日本レクリエーション協会/監修 ベースボール・マガジン社

この夏、キャンプの計画がある方はもちろん、野外で楽しめる遊びやゲームを探している方には特におすすめの一冊。道具を使わずにできるゲームや牛乳パックを使った飛行機の作り方など、家族や仲間で夢中になれるアイディアが盛りだくさんです。夏の思い出作りの参考にどうぞ。

2010年7月20日(火曜日) vol.74掲載

 

『明日につづくリズム』

八束澄子/[著] ポプラ社

地方から都市への人口流出が全国的に問題になっています。この小説の主人公は夢の実現のために都会に憧れる中学生。「自分のしたいことは、ここにはない」という思いは彼女が故郷を愛している分、痛切です。少女の成長物語ではありますが地方の人口減少や地域格差などの社会問題を考えるきっかけにもなる1冊です。

2010年6月20日(金曜日) vol.73掲載

 

『夢ひとすじ福島びと 人生春夏秋冬 私の道』

福島民友新聞社/編(福島民友新聞社)

地方から都市への人口流出が全国的に問題になっています。この小説の主人公は夢の実現のために都会に憧れる中学生。「自分のしたいことは、ここにはない」という思いは彼女が故郷を愛している分、痛切です。少女の成長物語ではありますが地方の人口減少や地域格差などの社会問題を考えるきっかけにもなる1冊です。

2010年5月20日(木曜日) vol.72掲載

 

『地元学をはじめよう』

吉本哲郎/著 岩波書店(岩波ジュニア新書609)

地域の事をどれくらい知っていますか?どこかと比較して、不便なところや、ないものばかりに目を向けていませんか?

本書には「地元学」にどのように取り組み、実践してきたかの事例が紹介されています。まずは“あるもの”に目を向け、それぞれの“豊かさ”を見つめることから始まります。それは、自分を、今いる場所を愛することに繋がるのではないでしょうか。

2010年4月20日(火曜日) vol.71掲載