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こどものへや
数見 隆生/著 かもがわ出版 2015
東日本大震災の津波被害が甚大であったことは誰もがよく知っていますが、大きな被害を受けた学校の共通点として「通常災害時の避難」と「津波発生時の避難」の区別が曖昧だったことは、あまり知られていません。
本書は沿岸部の津波被害への対策を中心に論じていますが、地震により想定される被害は倒壊、火災、土砂崩れなど各校で異なるはずです。
東日本大震災から6年が経過した今、本書を読み、改めて自校の防災について考える時間を設けてみてはいかがでしょうか。
2017年3月21日(火曜日) vol.154掲載
山本 悦子/著 岩崎書店 2016
ある日、中学一年生の優菜のおばあちゃんが「夜間中学に行く」と宣言します。 優菜も足を怪我してしまったおばあちゃんの付き添いで夜間中学に通うことになり、 年齢も国籍も、通う理由も様々な生徒達に出会います。優菜は昼間の中学とは 違った交流を通し、学ぶことの意味をつかんでいきます。元教員である著者が 夜間中学を見学した際に抱いた、「『学校で学ぶ』ということは、楽しく、 誇らしいこと」という思いが清々しく描かれています。
中学生から大人まで読める一冊です。
2017年2月20日(月曜日) vol.153掲載
北影 雄幸/著 勉誠出版 2012
今年2017年は大政奉還から150年目の年です。この本では、幕末動乱の原動力となった政治思想について、佐久間象山、吉田松陰、坂本龍馬などの志士が著した書から読み解いていきます。それぞれの思想への異なるアプローチについて興味深く読める一冊です。
なお、県立図書館では3月1日(水曜日)まで展示「幕末から明治へ」を開催しています。
この機会に、本を通して幕末の歴史に触れてみてください。
2017年1月20日(金曜日) vol.152掲載
BJエディターズ 2016
中通りと浜通り北部で路線バス等を運行する「福島交通株式会社」。そのルーツは1907(明治40)年の蒸気機関車運行に遡り、100年以上経った現在でもなお、県民の足として暮らしを支え続けています。
本書では福島交通のバスを徹底解剖。経営不振・震災を乗り越えてきた歴史や、一見同じに見えて結構違う車種ごとのバスの特徴が解説されている他、路線バス旅行記まで1冊で楽しめます。
ひと目見ただけで福島交通の本だと分かる装丁も必見です。
2016年12月20日(火曜日) vol.151掲載
師岡康子/著 岩波書店 2013
近年、日本でも用語としては一般化した感のある「ヘイト・スピーチ」。この用語は具体的にはどのような表現を指しているのでしょうか。本書は、日本における状況、各国による法規制の選択や規制慎重論など、問題の主要な論点をまとめています。
入門的内容でありながら、言及される論点の多くは、本年6月3日施行の「本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組みの推進に関する法律」(通称ヘイトスピーチ解消法)をめぐる議論にも連なっています。
2016年11月21日(月曜日) vol.150掲載
学校図書館法が改正され、「学校司書」を配置する学校が増えていますが、図書館運営を学校司書任せにするだけでは、どうしても図書館活用の幅に限界があります。図書館の活性化には、教員と学校司書の協働が必要不可欠!
学校図書館を良くするヒントがたくさん詰まったこの本は、学校図書館を授業や生活指導の場として上手く使うきっかけになると思います。
2016年10月20日(木曜日) vol.149掲載
かこさとし+福岡伸一/著 中央公論新社 2016
今日、子どもの理科離れや文系理系の乖離などが着目され、子どもの理系教育への関心が高まっています。
本書は、科学絵本の第一人者であるかこさとし氏と生物学者の福岡伸一氏が子どもの好奇心に重点を置き、対談・Q&A・授業プランなど、様々な形式でその解決の一端を示しています。
理系教育に携わる人だけでなく、子どもの未来を考える全ての大人におすすめの一冊です。巻末に「好奇心を育むブックガイド」が掲載されています。
2016年9月20日(火曜日) vol.148掲載
須賀武継/著 雷鳥社 2013
福島県・奥会津地方の豊かな自然を写した写真集です。住民の手で護られてきたというカタクリの群生、鏡のように山を映す只見川、気候に合わせた特徴ある稲架掛け、雪に覆われた冬の夜など、春夏秋冬それぞれの景色が収められています。
人の姿がほとんど写っていない写真のなかに、美しくも厳しい自然と寄り添うようにして暮してきた人々の生活が感じられる一冊です。
2016年8月22日(月曜日) vol.147掲載
織田一朗/著 草思社 2013
リオ五輪開催も目前です。本県出身・窪木選手が出場する自転車競技や、陸上競技・水泳など、選手たちの好記録に期待が集まります。
本書は、そんな競技記録を計測する「時計」について、五輪の公式計時も担当した大手時計会社「セイコー」の元社員が解説した1冊です。
酷暑、極寒、水中など、どんな環境の中でも正確さが要求される計測。
選手たちの活躍の影で鈍く輝く、時計職人たちの意地と努力が垣間見えます。
2016年7月20日(水曜日) vol.146掲載
ナイジェル・ウォーバートン/著 森村進・森村たまき/訳 岩波書店 2015
表現の自由は、限界を有するのか?限界があるとすれば、それはどこで線引きされるのか?
本書は、古典的な議論から現在的問題まで、「表現の自由」をめぐる諸対立を、事例を交えて考察しています。他人の感情を害し、傷つけることが明白な表現に、われわれはどう向き合うべきなのか。
本書は120頁余りの紙幅ながら、現代社会を考えるひとつの枠組みを提供しています。
2016年6月20日(金曜日) vol.145掲載
小林謙一/編 同成社 2016
狩猟・採集の素朴な生活から、栗の木を栽培し様々な土器を使いこなす生活へ、「縄文時代」の時代観が大きく変わっています。この本では食、住まい、生活の資源、料理器具などの視点から、考古学の地道な研究の積み重ねの一端を紹介しています。
なお、県立図書館では6月に展示「縄文土器の年代 -その古さを読み解く-」を開催します。
本とあわせて展示もお楽しみください。
石垣りん/著 伊東比呂美/編 岩波書店 2015
仕事と生活を往復して家族を養いながら、たぎるような思いを詩に綴り、戦後の女性詩を牽引した石垣りん。本書には、よく知られた彼女の代表作のほか、手書き原稿としてのみ遺された未発表の詩や単行詩集には収録されていない作品33篇が収められています。
ものごとをじっと見つめ、問い続ける営みから生まれた力強い詩に影響を受ける読者も多いことでしょう。
2016年4月20日(水曜日) vol.143掲載