平成29(2017)年度に紹介した「お薦めの1冊」

 

『科学の知恵 怒りを鎮める うまく謝る』(講談社現代新書2444)

川合伸幸/著 講談社 2017

心理学・認知科学のある研究によれば、「怒り」とは攻撃性と不快感という二つの心理状態が混ぜ合わさったものです。攻撃性は、仰向けの姿勢になったり、人目を気にしたり工夫することで 抑えることができますが、不快感は謝罪されても消すことができません。「赦し」とは「赦す側」と 「赦される側」双方の条件が必要となるからです。

怒りや謝罪の効果について、海外や著者達の 研究に基づいて科学的に考えます。

2018年3月20日 vol.166掲載

 

『学校へいきたい!世界の果てにこんな通学路が!ジャクソン ケニアの11歳』

六耀社 2017.8

世界には、学校に行くことが命がげの冒険となる地域があります。ケニアに住むジャクソンは家から15キロも離れた学校まで、6歳の妹とともに歩いて通っています。通学路は、危険な動物がひそむサバンナ。水筒の水がこぼれたときは、砂の中から水を掘り当て、水筒を満たします。さまざまな困難を乗り越えて学校を目指す少年の姿を追った1冊です。同シリーズの本が全部で8冊刊行されています。

2018年3月20日 vol.166掲載

 

『重力波は歌う アインシュタイン最後の宿題に挑んだ科学者たち』

ジャンナ・レヴィン/著 早川書房 2016.6

最近注目を集める「重力波」。その存在を最初に提唱したのは、かの有名な物理学者 アインシュタインでした。それから約100年、何人もの学者が重力波の検出に挑戦し、ついに2015年9月にLIGO(レーザー干渉計重力波観測所)が直接検出に成功。その研究に 貢献した3名が2017年ノーベル物理学賞を受賞しました。その直接検出に至るまでの 軌跡が描かれたのがこの本です。偉業の陰にあった様々な人間ドラマに引き込まれる 一冊です。

2018年1月22日(月曜日) vol.164掲載

 

『リンゴを食べる教科書 健康果実のひみつ』

丹野 清志/著 ナツメ社 2017.7

日本人にとって身近な果物・リンゴはなぜおいしいのか? 青森県津軽地方の1年間を通して「リンゴができるまで」を取材した本書は、栄養効果も分かりやすく解説され、「これだけ知っていればリンゴの通になれる」一冊です。

著者は福島市生まれ。写真家ならではの、四季折々に撮影されたリンゴ畑の美しい写真とともに お楽しみください。

2017年12月20日(水曜日)vol.163掲載

 

『飲食店のためのハラル対策ハンドブック レシピ30付』

一般社団法人ハラル・ジャパン協会/著 柴田書店 2017

近年、ムスリム(イスラム教徒)の訪日観光客が増加傾向にあります。彼らは『コーラン』などのイスラム法にのっとって生活をしているため、食事にも細かな注意を払う必要があります。本書では、飲食店でムスリムに対応した食事を出すためのポイントを解説するだけでなく、そのレシピも 掲載されています。言葉のみで学ぶだけでなく、実際に料理を作ることで 異文化に対する興味・理解を深められる一冊です。

2017年11月20日(月曜日) vol.162掲載

 

『〈弱いロボット〉の思考 わたし・身体・コミュニケーション』(講談現代新書 2433)

岡田美智雄/著 2017

人とロボットのコミュニケーションを考えたとき、人〈させる側〉とロボット〈させられる側〉との関係になりがちですが、こうした対峙に基づいた考え方は、その働きに対する要求をどんどんエスカレートさせていきます。

持ちつ持たれつの関係を生み出すような、どこか不完全な〈弱いロボット〉の提唱者が、ロボットの製作を通してコミュニケーションについて考えます。

2017年10月20日(金曜日) vol.161掲載

 

『学校で知っておきたい著作権(全3巻)』

小寺 信良/著 汐文社 2016から2017

私たちの身の回りには、たくさんの著作物や、それを複製できる機器があります。 今や誰もが、著作権と関わらずにはいられません。このシリーズでは、「本の一部をコピーして授業で配ってもいいの?」などの実例に即した Q&Aに加えて、その根拠となる法律や考え方も紹介されています。子ども向けの 本ですが、詳しい解説やコラムなどもあり、大人も一緒に学べます。著作権の仕組みを知って、安心して著作物を利用しましょう。

2017年9月20日(水曜日) vol.160掲載

 

『土偶のリアル 発見・発掘から蒐集・国宝誕生まで』

譽田 亜紀子/著 山川出版社 2017

土偶と言えば歴史の授業でおなじみの考古資料。この本では全国の様々な土偶の発掘・蒐集等について、縄文人との関係や発掘時のドラマを交えて 書かれています。そのひとつとして、昭和27年福島県東湯野村(現在の福島市飯坂町)出土の屈折像土偶も紹介されており、村を挙げて土偶の発掘に取り組んだ様子を窺うことができます。

この機会に土偶の魅力と謎に迫ってみてはいかがでしょうか。

2017年8月21日(月曜日) vol.159掲載

 

『会津執権の栄誉』

佐藤 巖太郎/著 文藝春秋 2017

相次ぐ当主の早世、跡目争いによる家中の軋轢、領外からは迫る伊達政宗の 脅威。戦国末期の南東北を舞台に、芦名家の家臣たちを中心とした人々の姿が描かれています。

著者は1962年福島市生まれ。単行本デビューとなった本作は、『オール讀物』掲載に書き下ろしを追加した連作短編集です。

第157回直木三十五賞候補作。

2017年7月20日(木曜日) vol.158掲載

 

『COSMOS インフォグラフィックスでみる宇宙』

スチュアート・ロウ,クリス・ノース/著 吉川真/訳 丸善出版 2016

1969年に人類がはじめて月に降り立ってから、まもなく50年。技術のめざましい 発展により、宇宙に関する新しい発見、知識は日々増えています。複雑さを増す広大な宇宙について、この本は情報を視覚的にわかりやすくしたインフォグラフィックスを使用し、様々な視点から見開きで解説しています。

今までの宇宙図鑑などとは一味違ったこの本で、宇宙のなぞや最先端の発見に触れてみませんか。

2017年6月20日(火曜日) vol.157掲載

 

『ゲノム編集とは何か「DNAのメス」クリスパーの衝撃(講談社現代新書)』

小林 雅一/著 講談社 2016

2012年ごろ、ゲノム(遺伝子情報)を、ワープロで文章をカット&ペーストするかのように操作できる「クリスパー・キャス9」という画期的な技術が開発されました。この技術は、動物や植物のDNA操作だけでなく、人間に対しても病気の治療のほか、様々なところに適用されようとしています。私たちの暮しに多大な影響をもたらすこの最先端技術のインパクトについて、基礎から学んでみませんか?

2017年5月22日(月曜日) vol.156掲載

 

『東日本大震災ー救護活動から復興支援までの記録ー』

日本赤十字社企画広報室/[編] 日本赤十字社企画広報室 2013

大災害が起こる毎にメディアに取り上げられる「日本赤十字社」。しかし、その活動内容について十分知っている方は少ないのではないでしょうか。

東日本大震災発生後、 全国の日赤支部は被災各地へ職員を派遣していました。本書は震災被災者への心身に渡る救援を実施した日赤の活動記録集です。

5月に当館では日赤と連携した講演会等のイベントを開催します。本書を傍らにしながらイベントに参加し、各地で医療活動を続ける日赤について思いを巡らせてみてはいかがでしょう。

2017年4月20日(木曜日) vol.155掲載